
バイオ系に進んだけど、就職が厳しすぎる…。



ひたすらピペットを握るだけの毎日、このままで大丈夫なのか?
そんな不安を抱えている理系学生や、これからバイオ分野を目指そうとしている人も多いのではないでしょうか?
特にネット上では、バイオ系の研究職を「ピペット土方」と揶揄する声もあり、「このままでは市場価値の低い人材になってしまうのでは?」と悩む人も少なくありません。
でも、本当にバイオ系の道は「人生終了」なのでしょうか?
確かに、バイオ分野の就職は簡単ではありません。しかし、キャリア戦略をしっかり立てることで、研究職だけでなく、さまざまな道が開けるのも事実です。
本記事では、「ピペット土方」と言われる理由やバイオ系の就職の現実、そして 市場価値を高めるための具体的なキャリア戦略 について詳しく解説していきます。
バイオ系でのキャリアに不安を感じている人は、ぜひ最後まで読んでみてください!
ピペット土方とは?ネットスラングの背景


まずはピペット土方について解説していきます。
ピペット土方(略してピペド)とは、簡単に言うとバイオ系の学生のスラングです。
バイオ系の大学に進学すると、ピペットという実験道具を扱い、ひたすら実験を繰り返すことしかしないので、社会に役立つスキルが身につかず市場価値が低い人材なってしまう傾向があることからその名がつけられているそうです。
確かに、「ピペド」は、ネットの住民が工作した作り話だと思う人も多いです。
しかし、この「ピペド」の件については実際にバイオ系の大学で起きていることなのです。
理由は冒頭で説明した通り、スキルの身につかない作業を強いられるからです。
確かにピペットで作業すること自体、簡単ではあるものの、正確に量を測ったり、コンタミネーション(目的の試薬に異物が混じること)を起こさないように行う技術は誰でもできることではありません。
それに、コロナ禍でPCRの技術が必要とされていたり、iPS細胞の登場によってバイオテクノロジーの技術が将来ますます高まることは間違いないでしょう。
しかし、身に着けたスキルがそのまま社会に活かせるとは限りません。
何故なら、身に着けたスキルが直結する仕事に食品メーカー、医療メーカーの研究職・品質管理などがありますが、それらの採用枠が少ないからです。
研究は将来役に立つ莫大な財産を生み出す可能性があるツールですが、すぐに利益を出すことは出来ません。
そのため、どの企業も研究職の採用人数はかなり少なくなりがちなのです。
それに、この少ない採用枠に工学部・理学部・農学部・薬学部といった様々な学部の学生がたくさん応募するので非常に競争が激しいレッドオーシャンとなっているのです。
そのため、選考を活かした就職先に内定するには、研究で多大な実績を出すか、コミュニケーションスキルが突出していないと厳しいのです。



私も専門性を身に着け、専門性を活かせる就職に就くために大学院に進学し、努力をしましたが、結局畑違いの機械メーカーの技術職に内定することしか出来ませんでした。
このように専門性を活かせる就職先がほとんどなく、競争も激しいので、大学院の専門分野しか学んでこなかった学生は結果的にスキルのない人材になってしまうのです。



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研究室で得られるメリットとデメリット


バイオ系の研究室では、専門的な実験スキルを習得し、貴重な経験を積むことができます。
しかし、その一方でスケジュール管理の厳しさや、就職時に専門性が活かせるとは限らないといったデメリットも存在します。
ここでは、研究室で得られるメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
研究室で得られるメリット
研究室で得られるメリットは以下の通りです。
- 実験スキルが身につく
- 貴重な経験が得られる
- 研究職のキャリアにつながる
それでは順に解説していきます。
実験スキルが身につく
研究室では、日々の実験を通じて高度な実験スキルを習得することができます。
特に、PCRや細胞培養といったバイオ系の専門技術が身につき、正確な計測やコンタミネーション(異物混入)の防止技術も習得できます。
また、細かい作業を繰り返す中で、正確さや慎重さが求められるため、作業の精度が向上するのも大きなメリットです。
貴重な経験が得られる
研究活動を通じて、論理的思考力や問題解決能力を鍛えることができます。
例えば、動物実験では、どのような要因が健康に影響を与えるのかを学ぶことができ、実験データを分析することで、より深い考察力が養われます。
また、研究室では指導教員や先輩・同僚と密に関わるため、人脈を築くこともできます。
こうした人間関係は、卒業後のキャリア形成にも役立つ可能性があります。
研究職のキャリアにつながる
研究室での経験は、将来的に研究職に進む際の大きな武器になります。
研究職に就くことができれば、最先端の技術に携わりながら、自分の興味を追求できる魅力的な仕事ができます。
特に修士・博士課程での研究経験は、製薬やバイオテクノロジー分野の専門職で活かすことができます。
研究室で感じるデメリット
研究室で得られるメリットは以下の通りです。
- スケジュール管理が厳しい
- 就職で専門性が活かせるとは限らない
- バイトやインターンが難しい
それでは順に解説していきます。
スケジュール管理が厳しい
研究室での実験スケジュールは非常に厳しく管理されており、プライベートの予定を自由に入れることが難しい場合があります。
特にマウス実験などでは、解剖やデータ収集のタイミングが決まっているため、早朝や深夜に作業を行わなければならないこともあります。
そのため、休日や長期休暇も取りづらく、研究が生活の中心になりがちです。
就職で専門性が活かせるとは限らない
研究室で培った実験スキルや専門知識が、そのまま社会で活かせるとは限りません。
例えば、動物実験の経験が、化粧品や日用品の研究開発では直接役に立たないこともあります。
また、修士課程での研究内容が企業の求めるスキルと一致しない場合、専門外の業務に就かざるを得ないケースも少なくありません。
バイオ系の技術は専門性が高いため、業界によっては採用枠が限られてしまうことが現実です。
バイトやインターンが難しい
実験スケジュールが固定されているため、自由にインターンやアルバイトをすることが難しいという課題もあります。
特に、企業のインターンに参加する時間が取れず、就職活動の選択肢を狭めてしまうケースもあります。
アルバイトに関しても、時間の融通が利く夜間の仕事や家庭教師など、選択肢が限られてしまうことが多いです。
バイオ系学生の就職が厳しい理由とは?


バイオ系の学生が就職で苦戦する大きな理由の一つは、研究職の採用枠が少ないことです。特に、研究職を目指す場合は競争が非常に激しく、他学部の学生と争わなければならない現実があります。
① 研究職の競争が激しい
バイオ系の学生が目指す研究職ですが、多くの企業では博士課程修了者が優遇されるため、修士卒では採用枠が限られます。さらに、各業界では以下のように他学部の専門性が強く求められる傾向があります。
- 食品業界 → 獣医学・医学・薬学系の人材が有利
- 製薬業界 → 薬学部出身者が優遇されやすい
- 化粧品・日用品業界 → 化学系・薬学系出身者が強い
このように、生命科学系の学生は、どの業界でも他学部の専門性を持つ人材と競争しなければならず、採用されるハードルが高くなっています。
② 研究職以外の選択肢
研究職の枠が少ないからといって、バイオ系の知識を活かせる仕事がないわけではありません。研究職以外にも、以下のような選択肢があります。
- 品質管理・品質保証 → 製品の安全性や品質チェックを行う
- 技術営業・アプリケーションスペシャリスト → バイオの専門知識を活かした営業職
- バイオインフォマティクス・データサイエンス → プログラミング×バイオで新しい価値を生み出す
研究職にこだわらず、自分の得意な分野や興味のある仕事を見つけることで、バイオ系の学びを活かす道は広がります。早めにキャリアの方向性を考え、選択肢を増やしておくことが重要です。
バイオ系技術職の派遣という選択肢


「技術員派遣型企業」という形態があり、企業に派遣されて実験業務に従事することも可能です。
- 研究職に近い業務ができる
- 様々な企業や研究機関の環境を経験できる
- 正社員雇用は派遣会社なので、待遇が派遣先の社員と異なる
- 研究の考察や論文作成は派遣先の社員が行うため、スキルが限定される
- 転職市場での評価が低くなる可能性がある
派遣型の仕事は、実験が好きだが論文作成や仮説立案が苦手な人に向いている選択肢です。
バイオ系のキャリアを考える際に大切なポイント


バイオ系の仕事を選ぶうえで、勤務地や職種の現実を理解することはとても重要です。特に、勤務地によってキャリアの幅が大きく変わるため、慎重に考える必要があります。
- 研究所は地方に多く、都市部にこだわると選択肢が限られる
→ 研究職を希望する場合、勤務地が地方になることが多く、都市部での就職は難しくなる可能性があります。 - 総合職は転勤の可能性が高い
→ 大手企業の総合職では、全国転勤の可能性があり、ライフプランに影響を与えることもあります。
- 20代の過ごし方が、その後の人生に大きく影響する
→ 若いうちにどこでどのように経験を積むかが、今後のキャリアの基盤を作ります。 - 都市部では、オフラインイベントや成長の機会が豊富
→ セミナーや勉強会など、スキルアップのチャンスが多いため、積極的に活用するとキャリアの選択肢が広がります。 - 勤務地や職種は慎重に選ぶことが大切
→ 「どんな働き方をしたいのか?」を明確にし、自分に合ったキャリアを選ぶことが重要です。
バイオ系のキャリアを考える際は、勤務地と職種の現実をしっかり理解し、自分にとってベストな選択肢を見極めることが成功へのカギとなります。
まとめ
「ピペット土方」という言葉が広まる背景には、バイオ系の就職の厳しさが関係しています。しかし、バイオ系のキャリアは決して狭いわけではなく、適切なスキルを身につければ活躍の場は広がります。
- 研究職以外にも様々なキャリアの選択肢がある
- 専門性に加え、データ分析や品質管理のスキルを学ぶと市場価値が高まる
- 勤務地や職種の現実を理解し、自分に合ったキャリアを選ぶことが重要
バイオ系のキャリアに悩んでいる方は、視野を広げて自分に合った道を模索してみてください。
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