稲を食べる外来種として知られているジャンボタニシ。
日本でも侵略的外来種ワースト100に選ばれています。
しかし、参政党はジャンボタニシで除草を行い、無農薬で栽培する農法を推奨しています。
そんなジャンボタニシ農法ですが、現在SNS上で炎上しています。
さらには、農林水産省はジャンボタニシの放流を止めるようにお願いしています。
そんなジャンボタニシ農法がなぜ問題なのか調べてみました。
参政党が推奨するジャンボタニシ農法とは?
ジャンボタニシ農法とは、無農薬農法の一種で、田植え直後の柔らかい苗をジャンボタニシが優先的に食べるという特性を利用したものです。
ジャンボタニシとは、殻の長さが最大で8cm近くになる大型の巻き貝のことです。正式な和名は「スクミリンゴガイ」と言います。
ジャンボタニシ農法は、以下の手順で行われます。
- 苗を植えた後に水を引き、20日間ほど乾燥させる。
- 水を入れたときには稲は硬くなる。
- ジャンボタニシは柔らかい草が好きなので、水を入れた後は、成長した稲は食べないで、新しく生えた雑草だけ食べてくれる。
以上の手順で行うことで、害虫を防ぎながら雑草も減らすことができます。
田んぼでよく行われるアイガモ農法と並行させることによって、効率的に収穫量をアップさせることができるのです。
実際にジャンボタニシ農法を取り入れている農家さんもいるようです。
以下のリンクはジャンボタニシ農法を具体的に解説している記事となりますので、ぜひチェックしてみてください。
ジャンボタニシを活用した有機稲作「百姓・木村節郎」 – NIHONMONO
参政党の重松ゆうこ議員がジャンボタニシ農法を推奨したことが、炎上の発端!
除草目的で行われるジャンボタニシ農法ですが、参政党の重松ゆうこ議員がこの農法をSNSで推奨しています。
重松さんによると、40年以上ジャンボタニシ活用して、無農薬米を作っているそうです。
地域ぐるみでJA福岡市が指導したとの声も。
重松さんはこのジャンボタニシ農法を絶賛していて、全国で広まって欲しいと思っているみたいです。
ジャンボタニシ農法が炎上している理由
農薬なしで除草できるジャンボタニシ農法ですが、メリットよりもデメリットの方が大きいため炎上しています。
中には、テロ行為だとバッシングする声も。
ジャンボタニシ農法の主なデメリットは、以下の2点です。
- 稲も一緒に食べてしまう
- 他の水田に大きな悪影響を与える
ジャンボタニシの食欲はすさまじく、栽培している稲も食べてしまいます。
実際に、ジャンボタニシによる稲の食害も報告されています。
確かに、水位をコントロールすることによって被害を抑えられるでしょう。
しかし、大雨によって水位が急上昇した場合、隣の田んぼにジャンボタニシが流出します。
隣の田んぼはジャンボタニシ農法を行っているとは限らないので、ジャンボタニシが流出してしまうと大きな被害を被ることになるのです。
はた迷惑すぎるよね…。
それにジャンボタニシは繫殖力が非常に高いので、一度流出すると周辺農地に拡散し、甚大な被害を与えます。
一度侵入・まん延すると根絶は困難なので、絶対にジャンボタニシを放流してはいけないのです。
ジャンボタニシは驚異的な繫殖力をもつ!
ジャンボタニシは驚異的な繫殖力を持ちます。
何と一回の産卵でおよそ200~300個の卵を産みます!
大量の卵を含んだ卵塊を辺り一面に産み付けるため、たくさんの子孫を残せるのです。
ジャンボタニシの卵には毒がある!
ジャンボタニシは、陸にピンク色の卵を産み付けますが、卵には毒があります。
ジャンボタニシの卵に含まれる毒は、「PV2」という神経毒です。
これが口に入ると、言いようのない苦みが感じられます。
また、素手で卵に触れると、毒に侵されてしまいます。
なので、ジャンボタニシの卵には絶対に触らないでください!
ジャンボタニシは寄生虫も持っている
ジャンボタニシは毒だけでなく、寄生虫を持っています。
ジャンボタニシに寄生する寄生虫は、「広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)」です。
元々広東住血線虫はカタツムリやナメクジなどの生き物に寄生する寄生虫ですが、人間にも寄生します。
広東住血線虫に寄生されると、1〜2週間の潜伏期間を経て、微熱や頭痛を発症します。
症状が進行すると、脳を包むクモ膜下などに寄生して、髄膜脳炎などを引き起こし、知覚異常、脳神経麻痺、失明などの重い障害が残る危険性があります。
なので、ジャンボタニシを触る時は、必ず手袋をつけるようにしましょう!
元々ジャンボタニシは食用として日本に持ち込まれた
これまで、問題行動を起こしまくっているジャンボタニシですが、元々は中南米原産の淡水性の巻貝です。
ではなぜ、日本にジャンボタニシが生息しているのでしょうか?
ジャンボタニシは、日本に食用のために移入されたと言われています。
サザエに似た食感を持つそうです。
1980年代に食用として輸入されたジャンボタニシですが、日本の食卓に定着することはありませんでした。
その後、不十分な管理による脱走または人為的に放流されたことにより定着しました。
たくましい適応力によって、爆発的に数を増やし、侵略的外来種ワースト100に選ばれるほどの厄介者となったのです。
ウシガエルやアメリカザリガニが定着したパターンと同じですね。
農林水産省はジャンボタニシ農法を否定している
農林水産省は3月6日、公式Xに「ジャンボタニシ放飼は止めてください!」と注意喚起を投稿しました。
「除草目的であっても、未発生地域や被害防止に取り組む地域で放飼すると、周辺農地への拡散により悪影響を及ぼす。一度侵入・まん延すると根絶は困難」と理由を説明しています。
SNS上では、2月下旬からジャンボタニシを用いた除草に言及し、「ジャンボタニシ農法を全国でやったらいい」という言説が話題になっているので、これに対応したものとみられます。
まとめ
今回は、炎上しているジャンボタニシ農法について調べてみました。
炎上している理由は以下の通りです。
- 稲も一緒に食べてしまう
- 他の水田に大きな悪影響を与える
確かに、無農薬で除草できることを理由にジャンボタニシ農法を行っている農家も実在します。
しかし、上記の理由からメリットよりもデメリットの方が大きいので、炎上しているのです。
無農薬農法はエコで安全に作物を栽培できる魅力的な方法ですが、デメリットももちろん存在します。
多くの農家が農薬を使用しているのは、ちゃんとした理由があるのです。
また、農薬も安全性が高いものが増えています。
安易に無農薬に走ることなく、自分に本当に無農薬農法が適しているかどうか、また農薬を使用する必要があるかどうかをよく考えた上で、判断することが大切です。
もし、ジャンボタニシの被害に悩んでいたらこちらの記事を読んでみてください。
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